木材の知識 か行

柿 [カキノキ]

カキ [カキ]

カキノキ科

分布:本州、四国、九州。栽培も盛んに行われている。山に自生するものはヤマガキと呼ばれる

気乾比重:0.60

特徴:全体に淡い橙褐色を帯びているが、心材の木理に黒色〜黒褐色の縞模様と孔雀目(光沢のある緑色の緻密な紋様)をもつものを「クロガキ」と呼ぶ。木理はほぼ通直、肌目も緻密。重硬なため加工性にやや難があり、割れやすい。耐朽性は小

用途:クロガキは床柱、装飾材、細工物などに用いられる

板目

桂 [カツラ]

オカツラ [オカツラ]
カモカツラ [カモカツラ]

カツラ科

分布:北海道、本州、四国、九州

気乾比重:0.49

特徴:辺材は緑色を帯びた黄白色、心材は褐色で、辺心材の境目は明瞭。材色が濃いものをヒガツラ、淡いものをアオガツラと呼び、一般にヒガツラの方が優良材とされる。木理は通直、肌目も緻密。軽軟だが靱性が高いため反りにくく、加工性もよい。耐朽性は中程度。

用途;主に引き出しの内部材に使用、大きなものはテーブルにもなる

柾目 板目

カプール [カプール]

カポール [カポール]

フタバガキ科

気乾比重:0.56〜0.84

産地:マラヤ、スマトラ、ボルネオなど

特徴:辺材は桃色を帯びた淡い黄褐色、心材は淡い赤褐色〜濃い赤褐色。木理はやや通直、肌目はやや粗いが、樟脳に似た芳香をもつ。やや重硬で強度に優れるが、シリカ(ケイ酸塩)を含む上、反りが生じやすく、表面も毛羽立ちやすいなど、乾燥・加工性に難がある。耐朽性は大

用途:床材、耐久性が高いのでトラック荷台などに使用

板目

榧 [カヤ]

カエ [カエ]
シロガヤ [シロガヤ]

イチイ科

分布:本州(岩手県以南)、四国、九州

樹形など:樹形は円錐形〜広円錐形、樹皮は青色を帯びた灰褐色で、縦に裂ける。葉は長さ2〜3?の線形で先端が尖り、2列に水平に並ぶ。雄花は淡い黄色の楕円形で、葉腋に並んで多数付き、緑色の雌花は枝の先端に群がって咲く、核果はイチイと同様、仮種皮に覆われた2〜4?の楕円形で、紫褐色に熟す

気乾比重:0.51

特徴:全体に黄色〜褐色を帯びた黄色で、辺心材の境目は不明瞭。年輪の境は早材部と晩材部の差が少なく均質。木理は通直、肌目も緻密。やや脂気(やにけ)が多く香気は少ないが、独特な光沢がある。やや重硬で強度は高いが加工性はよい。耐朽性は中程度〜大で、特に水湿に強い

用途:構造材、家具、水廻りなど

柾目 板目

唐松 [カラマツ]

落葉松 [ラクヨウショウ]

マツ科

分布:日本特産。本州(宮城県〜中部)

気乾比重:0.53

特徴:辺材は黄白色、心材は褐色で辺心材の境目は明瞭。肌目は粗いが木理は通直で、年輪がくっきりと浮かび上がっている。やや重硬で強度は高いが、樹脂成分が多く縦断面に脂条(やにすじ)がある。乾燥時に捩れやすく、割れや狂いも出やすいので注意が必要。耐朽性は中程度

用途:建築材全般、近年家具に使用されている

天然唐松柾目 天然唐松板目

うずくリウォルナット仕上げ

カラマツ材の欠点をカバーする仕上げ法の試みである。針葉樹の春材部は軟らかく、傷付きやすいが、この欠点をカバーするため、まず「うずくり」を施す。脂止めと素地着色の意味を兼ねて染料系着色剤を混入したウレタン下地を塗布する。塗面は凹凸があるため、スチールウール(繊維状の鋼でつくられた研磨材)で研磨し、凹部分に着色目止め剤を摺り込み、ウレタンの艶消し塗料を塗布する。小節などもあまり目立たない面白い仕上げが得られる

花梨 [カリン]

ナーラ [ナーラ]
セナ [セナ]
アンサナ [アンサナ]
ニューギニアローズウッド [ニューギニアローズウッド]

マメ科

気乾比重:0.52〜0.74

産地:フィリピン〜ニューギニア〜ミャンマーなどに広く分布

特徴:一般に辺材は淡い黄白色、心材は赤褐色で、時に縞模様をもつ。木理は交錯、肌目も粗いため、仕上げ時に逆目が立ちやすく、塗装もやや難しい。やや軽軟で材質はシタンに劣るが、耐朽性は大きい

用途:床柱、高級家具、シタンやコクタンの代替材として用いられることが多い

板目

カリン色鏡面仕上げ

カリン材は材色が濃色であるため特別な着色を施さず、漆液の色が付加されるのみで仕上げられていた。漆液はかなり濃色に着色しているので、摺り漆を何回か繰り返しているうちに、深い道管部は濃い黒色に着色されるが、木肌部分には漆液がほとんど残らないため、一定以上には着色されない。摺り漆を施した色がカリン色だが、不ぞろいな道管を埋めるために、中塗りにはポリサンを使用した

カリン色ラッカー仕上げ

硝化綿ラッカー(通常のラッカー)は外観は美しいが、肉持ちがあまりない。ポリウレタン塗料やポリエステル塗料は肉持ちがかなりあるため、カリン材に中途半端に塗布すると深い道管部が目はじきを起こして、見苦しい塗り肌になってしまう。道管部をシャープな切れ味のオープンポアー仕上げとするためにラッカーのみで塗装した例である

シタン色鏡面仕上げ

カリンは広義にはシタン類の一種で、本シタンの類似色に仕上げられる場合もある。塗装工程はカリン色鏡面仕上げと同様だが、色だけを本シタンに似せたものである

木曽檜 [キソヒノキ]

ヒノキ科

気乾比重:0.41

特徴:辺心材の境目は不明瞭なことが多いが、一般に辺材は淡い黄白色、心材は淡い黄褐色〜淡い赤色。木理は通直、肌目も緻密で、独特な香気と光沢をもっている。弾力性・靱性に富み、狂いが少なくやや軽軟なので加工性もよい。耐朽性は大

用途:高級建築材、造作材、和風建具、和・洋家具など建築全般

木曾檜柾目 木曾檜板目

黄蘗 [キハダ]

ヒロノハキハダ [ヒロノハキハダ]
キワダ [キワダ]
オオバク [オオバク]

ミカン科

分布:北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国大陸など

気乾比重:0.45

特徴:辺材は淡い黄白色、心材は緑色を帯びた黄褐色を呈しており、辺心材の境目は明瞭。肌目はやや粗いが、木理は通直で、独特の光沢を有している。やや重硬ながら加工性は比較的よく、表面の仕上がりも良好。耐朽性は小〜中程度だが、水湿に強い

用途:床柱、床板、装飾材、和風にも洋風にもなるので家具全般

板目

桐 [キリ]

ゴマノハグサ科(ノウゼンカズラ科とされる場合もある)

分布:原産地は不明。古くから全国で栽培されている

気乾比重:0.29

特徴:辺心材の境目は不明瞭で、全体にくすんだ白色〜褐色を帯び、時に紫色を呈する。肌目はやや粗いが、磨くと美しい光沢が出る。国産材では最も軽軟なため加工性は極めて良好。収縮膨張が小さく狂いがない。また吸水性・透湿性も小さいため断熱性に優れる。耐朽性は中程度

用途:和家具、細工物など

柾目 板目

樟 [クスノキ]

クス [クス]
アオグス [アオグス]
イシグス [イシグス]

クスノキ科

分布:本州(関東以西)、四国、九州、台湾、中国大陸

気乾比重:0.52

特徴:辺心材の境目は不明瞭だが、一般に心材は黄褐色〜淡い褐色、時に部分的に紅色を呈する。木理は交錯し、肌目もやや粗く、独特の光沢と樟脳臭を有する。やや重硬なため加工性に難があり、乾燥時には狂いが出やすい。耐虫害性は大きいが、耐朽性は中程度

用途:テーブル天板、虫が食わないので昔は引き出し材に使用されたが、臭いが強く今はあまり使用しない

板目

栗 [クリ]

ヤマグリ [ヤマグリ]
シバグリ [シバグリ]

ブナ科

分布:北海道(石狩・日高以南)、本州、四国、九州

気乾比重:0.55

特徴:辺材はやや褐色を帯びた灰白色、心材は淡い褐色を呈しており、辺心材の境目は明瞭。木理はほぼ通直だが肌目は粗い。やや重硬で弾力・反張力に富み、水潤に強いため耐朽性も大きい。乾燥性・加工性は中程度

用途:建具、装飾材(漆仕上げに適する)、家具全般、耐久性があるので水廻りのものなど

柾目 板目

黒松 [クロマツ]

雄松 [オマツ]
オトコマツ [オトコマツ]

マツ科

気乾比重:0.57

産地:本州、四国、九州。海岸地を中心に造林も盛んに行われている

特徴:心材は淡い黄褐色〜淡い褐色で、心材部分がやや少ない。辺材は淡い黄白色で、辺心材の境目はやや不明瞭。木理はほぼ通直、肌目は粗く、脂壺(やにつぼ)などがみられる。やや重硬で強度も高いが、樹脂成分が多いため接着性に難がある。耐朽性は小

用途:構造材、床材、家具など

板目

欅 [ケヤキ]

ツキ [ツキ]
ツキケヤキ [ツキケヤキ]

ニレ科

分布:本州(関東地方のものが比較的良質)、四国、九州、台湾、朝鮮、中国大陸

気乾比重:0.62

特徴:辺材は淡い黄褐色、心材は黄褐色〜黄赤褐色を帯びており、辺心材の境目は明瞭。一般に木理は通直だが肌目は粗く、時に玉杢、如輪杢(じょりんもく)などの美しい杢目を形勢する。重硬で加工性はやや悪いが、強靱で狂いが少ない。耐朽性は大

用途:建具、建築材全般、テーブル天板、和家具など

板目 玉杢

木地蝋仕上げ

ケヤキ材を使用し、漆の色調と深み感が、年輪の模様を引き立たせる高級な塗装法である。ケヤキの材質は硬く、摺り漆の加工中でも傷が付きにくい。塗装工程は生(き)漆と砥の粉で目止めをし、透蝋色(すきろいろ)漆を塗り重ね、炭研ぎ、摺り漆、胴摺りの各工程を経て磨き上げ、蝋色仕上げとする

紅ケヤキ色仕上げ

赤色の染料で素地着色を行い、下塗りを施してから目止め剤で孔圏部(環孔材の道管が分布する春材部の初期部分)の道管の着色を行う。さらに中塗りをして、研磨後、上塗りをする。孔圏部の深い道管(年輪)のみを強調したい場合は下塗りを施し、年輪中の小道管も表現したい場合は、下塗りをごく薄く塗装しなければならない

ケヤキ色標準仕上げ(?)

技法的には紅ケヤキ色とまったく同様だが、最も標準的なケヤキ色の仕上げである。色は材色そのものをやや濃色にするため、黄味の強いブラウン色で素地着色を行っている

ケヤキ色標準仕上げ(?)

ケヤキ材の年輪内の綾目を強調するために、やや濃度の高い染料着色剤を素地着色剤として使用している。素地着色剤が細かい道管に浸透し、美しい綾目模様が強調されている

ケンポナシ [ケンポナシ]

クロウメモドキ科

気乾比重:0.64

産地:北海道、本州、四国、九州中部

特徴:辺材は黄白色、心材は黄褐色を呈しており、辺心材の境目はやや不明瞭。木理はやや交錯し、肌目もやや粗いが、材質がケヤキに似ており、特に杢目が美しい。やや重硬だが加工性は比較的よく、乾燥による狂いも少ない。耐朽性は中程度

用途:装飾材、家具全般、以前はケヤキの代用品として使用された

板目

高野槙 [コウヤマキ]

マキ [マキ]

コウヤマキ科(スギ科とされる場合もある)

分布:日本特産。本州(福島県・中部以西)、四国、九州

樹形など:樹形は狭円錐形。樹皮は灰色を帯びた赤褐色で厚く、長い薄片となって剥落する。長さ6〜13?の線形の葉が短枝上に多数輪生する。雄花は黄色の長さ7?ほどの楕円形で枝の端に多数付き、淡い紅色で卵状楕円形の雌花は、1個ずつ枝先に咲く。球果は長さ8〜12?の楕円で褐色に熟す

気乾比重:0.42

特徴:心材は淡い黄色〜淡い黄色褐色、辺材は白黄色で、辺心材の境目は不明瞭。木理は通直、肌目も緻密で、脂気(やにけ)がやや多く独特の臭気があるのが特徴。軽軟なため加工性がよい上、水湿に優れている。耐朽性は大

用途:天井板、板類などに加工されるほか、器具、細工物にも用いられる

柾目 板目

黒檀 [コクタン]

エボニー [エボニー]
カマゴン [カマゴン]

カキノキ科

気乾比重:0.85〜1.09

産地:東南アジア、インド、スリランカなど

特徴:辺材は淡い赤色、心材は濃い黒色〜桃色の地に赤褐色の縞をもち、その色調により本黒檀、縞黒檀、青黒檀、斑入黒檀に大別される。材により幅があるが、一般に木理はほぼ通直、肌目も緻密で光沢をもつ。極めて重硬なため乾燥・加工性に難がある。耐朽性は大

用途:現在はほとんど市場に出まわらないが、床柱、装飾材など

板目

小楢 [コナラ]

ハハソ [ハハソ]
イシナラ [イシナラ]

ブナ科

気乾比重:0.82

産地:北海道南部、本州、四国、九州

特徴:辺材は淡い黄褐色、心材は淡い灰褐色を呈しており、辺心材の境目はやや不明瞭。木理はやや交錯〜交錯し、肌目も粗い。ミズナラに比べても更に重硬なため強靱で、強度も高いが、切削や表面仕上げにやや難がある。乾燥時に伸縮、反張しやすいので注意が必要。保存性・耐朽性は中程度

用途:床材、家具全般、運動具、杭など、硬度があり加工性悪い

追柾目

パラゴムノキ [パラゴムノキ]

ゴムノキ [ゴムノキ]
パラウッド [パラウッド]

トウダイグサ科

気乾比重:0.65

産地:ブラジル原産。現在ではゴムを採取するため東南アジア、南太平洋地域で造林されている

特徴:全体に灰白色〜淡い黄色で、辺心材の境目は不明瞭。木理は通直〜やや交錯、肌目はやや粗く、大きな道管をもつ。やや軽軟で加工は比較的容易だが、耐朽性が極めて小さく、青変菌に侵されやすい

用途:主にラバーウッド集成材として使用されている

集成材

ブラウン色仕上げ

ゴム採取後の廃材利用を目的に用途開発が行われ、現在では大量のパラゴムノキが家具材、造作材として日本国内で利用されている。約25年程度で伐採するため10〜15?の小径木で、一般には集成材として使われる。他の木材では見られないほどの大きな道管があり、体質顔料の入らない着色剤では吹き戻りが生じる。集成材の継目を目立たせないように塗膜着色にウエイトを置く

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